家具のうち、オフィス家具や什器・ラックなど金属フレームを使った製品では、スチールパイプや鋼板、アルミフレームといった部材に、脚部やキャスター、アジャスターなどの金具をねじで締結する場面があります。たとえば、アルミフレームにキャスタやアジャスタパッドを直線方向に取り付ける際、はめ込み式であれば追加工は不要ですが、ねじ込み式の場合はアルミフレームにタップ穴加工(またはヘリサート穴加工)を施す必要があると案内されています。
家具は人が日常的に体重や荷重をかける製品であるため、金具の締結強度は使い心地や安全性に直結します。ねじ込み部のめねじ加工が安定していることは、脚部のぐらつきや金具の緩みを防ぐうえで欠かせない要素です。
家具・什器に使われるアジャスタパッドは、ねじ径M5〜M20に対応する標準タイプ(耐荷重1.5〜8.8kN)と、M10〜M30に対応する重荷重タイプ(耐荷重10〜68.6kN)に分かれ、「耐荷重」と「取り付けねじ径」から選定することが案内されています。想定する荷重や設置する足回り部品の仕様に合わせて、めねじのサイズを決めていく必要があります。
めねじを加工する工具には、切りくずを出す切削タップと、塑性加工でねじを生成するロールタップ(転造タップ)があり、いずれも下穴の影響を受けやすく、1回転につき1リード送る必要があるなど、他の穴加工工具とは異なる特性を持つとされています。部材の材質や板厚、要求される耐荷重に応じて、工具の種類や加工条件を選ぶことが求められます。
家具の脚部や金具には、薄い鋼板やパイプが使われることも少なくありません。肉厚が薄いほど、めねじとして機能する有効ねじ山を確保しづらくなります。転造タップでの加工では、下穴径がねじ精度に直接影響するため、被削材ごとの拡大・縮小傾向を踏まえて下穴径を選定することが重要とされ、推奨範囲の大きめ付近で複数サイズを試して最適径を決める方法が案内されています。また、有効ねじ長さの許容差がシビアな場合は、食付き部とは別に残る不完全部を見込み、加工深さに1.5ピッチ程度の余裕を持たせる必要があるともされています。
検査の面では、限界ねじゲージによる合否判定に加え、転造タップの場合はめねじ内径用プラグゲージで内径の盛り上がりが精度範囲内かどうかを確認することも欠かせません。薄肉の部材ほど、こうした下穴管理と検査の丁寧さが、ねじの保持力や家具としての耐久性を左右します。
※参照元:赤木貞之「タップを用いためねじ加工と最近の動向」自動車技術会発行誌 Vol.76 No.4(2022年4月)(https://tech.jsae.or.jp/paperinfo/en/content/jk202204.06/)
※参照元:オーエスジー株式会社「転造タップ(溝なしタップ)の加工手順」(https://faq.osg.co.jp/faq/show/9593?site_domain=default)
総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査」製造業事業所調査(2026年7月29日公表)によると、家具・装備品製造業の事業所数は2025年時点で6,149事業所(前年比2.6%減)、従業者数は87,382人(同2.2%減)と、いずれも前年から減少しています。一方で、製造品出荷額等は2024年の1年間で2兆555億円となり、前年(2兆198億円)比で1.8%の増加となりました。
事業所数・従業者数が減少する一方で出荷額等は増加しているという今回の結果は、限られた人員・事業所でより多くの生産をこなす必要がある局面を示しているとも読み取れます。こうした状況では、ねじ締結のやり直しや手直しの削減につながる、安定して加工できるタップを使えるかどうかが、現場の生産性を左右する要素の一つといえます。
※参照元:総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)結果の概要」(https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kkj/pdf/seizo_gaikyo2025.pdf)
金属フレーム・脚部金具のねじ締結強度と、薄肉パイプ・板金のねじ山確保が、家具の部品加工現場に求められています。
当サイトでは「切削トラブル」「耐久性」「加工精度」など、現場で起きやすい悩みに合わせて、各メーカーの製品情報を整理しています。製品選びに迷った際は、ぜひ「タップメーカー3選」をご覧ください。


