超硬とは合金の一種で、炭化タングステンや炭化チタンなどの金属炭化物粉末と、コバルトやニッケルなどの鉄系金属粉末を1300℃~1500℃の高温で焼結して生み出されたものです。硬度の高さが大きな特徴で、ダイヤモンドの次に硬いと言われています。
また超硬タップは、高温でも硬度が低下しづらいため、耐摩耗性にも優れています。そのため、高速加工や耐摩耗性が要求される加工などで主に使用されることが多いです。
超硬タップは、ハイスタップと比べても硬度が高く、さらに、弾性係数や圧縮強度、熱伝導率、熱膨張においても高い性能を誇ります。一方で、衝撃強度や靭性に関してはハイスタップを下回るため、衝撃を受けると刃が欠けやすい点はデメリットと言えるでしょう。
しかし超硬は、粉末冶金法によって作製することから、材料の組み合わせ次第で特性を変えることが可能です。そのため、超硬タップにもさまざまな特性をもつ種類があります。
超硬タップは、特に切りくずが細かく分断される被削材の加工に適していると言われています。そのため、鋳鉄やアルミダイカスト等の加工で用いられることが多いです。また、硬度が高いことから、HRC60を超えるような超高硬度材で使用されることもあります。
超硬タップと一口に言っても、メーカーによって特徴や対応できる被削材に違いがあります。被削材や使用機械に適した超硬タップを選ばないと、刃欠けや折損トラブルを招く恐れがあるため、選定にあたってはメーカーのカタログ等で、被削材の対応範囲や加工条件等の確認を行うことが重要です。
タングステンと炭素の合金で、ダイヤモンドに次ぐ高い硬度があります。耐摩耗性や耐熱性にも優れ、過酷な使用条件下での工具に広く使用されています。その高い硬度と耐摩耗性から、硬度の高い材料の加工や、自動車部品、航空機部品などの大量生産が必要な部品の加工に使用されることが多いです。
コバルト(Co)は、超硬合金の結合材として使用され、タングステンカーバイド粒子を結びつける役割を果たします。これにより、工具の耐衝撃性や靭性が向上し、破損を防ぎます。また、コバルトを結合材とした超硬タップは、耐食性や耐酸性にも優れているのも特長。航空宇宙や自動車など高温下での加工が多い分野で広く使用されています。
AlCrNコーティングは、高い耐熱性と耐酸化性を持つのが特徴です。そのため、工具の寿命を延ばす効果があります。AlCrNコーティングされた超硬タップは、高温環境下での加工や、高速切削が必要な加工に特に適しています。
ここでは、超硬タップを取り扱うメーカーをご紹介します。各社の超硬タップの特徴について分かりやすく簡単にまとめていますので、超硬タップの選定の際にご活用ください。
彌満和(ヤマワ)製作所は、国内の老舗タップ専門メーカーです。超硬タップの種類を豊富に取り揃えており、サイズはもちろん被削材や切削条件などに合わせてタップを選ぶことができます。鋳鉄用や軽合金用、高硬度鋼用、超高速用アルミ材用など、多彩なラインナップが魅力となっています。
田野井製作所では、AlCrNコーティング付き超硬タップ(転造)TC-Wシリーズを展開。新設計のねじ山と最適化されたコーティングにより、工具の長寿命かつ高速加工を実現しています。内部給油専用モデルなど製品ラインナップも充実。工具の交換頻度を減らし、リードタイムの短縮が期待できます。
オーエスジーは、切削工具を幅広く扱う工具メーカーです。鋳物加工に適した油穴付き超硬Aタップ(A-CSF・A-CHT)をラインナップしており、サイズを選ぶことができます。また、希少金属を再利用する活動にも取り組んでいます。
超硬タップは、ダイヤモンドに次ぐ硬さと高い耐摩耗性を持ち、高速切削や高硬度材の加工に適した工具です。衝撃に弱い特性もあるため、被削材や加工条件に応じた選定が重要です。各メーカーごとに特長が異なるため、用途に合わせた製品選びが求められます。
当サイトでは「切削トラブル」「耐久性」「加工精度」など、現場で起きやすい悩みに合わせて、各メーカーの製品情報を整理しています。製品選びに迷った際は、ぜひ「タップメーカー3選」をご覧ください。


