使用方法:ハンドタップとマシンタップの違い

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ハンドタップとマシンタップの違い

ハンドタップとマシンタップの構造特性・用途領域による違い

ハンドタップは、主に手作業で使用するタップで、タップハンドルを使い手で回しながらねじを切ります。切り屑をためるストレートの溝が付いているのが特徴です。一方、マシンタップは工作機械に取り付けて使用するタップ全般を指します。溝がハンドタップとは異なる形状をしており、切り屑をためずに排出しながら加工できるのが特徴。これにより、連続してねじ切りを行うことができます。

ハンドタップとマシンタップの用途による違い

ハンドタップは、試作や雌ねじの修正作業、少量生産などの場面で活用され、特に細かい調整が必要な作業に適しています。一般的な等径ハンドタップは合金工具鋼(SKS2)や炭素工具鋼(SK5)を母材としており、耐熱限界温度が低いため、構造用鋼(SS400等)や軟鋼、軽金属のねじ切り、あるいは既存めねじに付着した異物の清掃や潰れたねじ山の修正(さらい加工)に適しています。ただし、手作業のため、作業者の経験や技術によって仕上がりに差が出ることがあります。

マシンタップは、CNC旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどの機械に取り付けて使用し、高精度かつ均一な加工を実現できます。過酷な熱負荷に耐えるコバルト・バナジウム含有高速度鋼(HSS-E/HSS-P)や超硬合金が用いられ、大量生産や、安定した品質が求められる製品の加工に使用されることが多いです。

ハンドタップとマシンタップの種類による違い

手作業用の等径ハンドタップセットには、食い付き山数がそれぞれ異なる先タップ(1番)、中タップ(2番)、上タップ(3番/上げタップ)の3種類があり、手作業で切削トルクを分散させてネジを切る(あるいは止まり穴の底近くまでねじ山を立てる)ためには、この3つのタップを順に使用するプロセスが必要です。日本産業規格(JIS B 0176-1)では、先:7〜10山、中:3〜5山、上:1〜3山と規定されています。

これに対し、工作機械で使用するマシンタップはスパイラルタップ、ポイントタップ、ロールタップなどの種類があり、それぞれ切り屑の排出方法が自動化に適した幾何学的構造になっています。そのため、それぞれの特徴を理解し、ねじ穴の種類や加工条件に応じて適切なマシンタップを使用すれば、手作業のような3本の使い分けプロセスを踏むことなく、1本のみで高能率なねじ加工を行うことが可能です。

ハンドタップとは

ハンドタップの特徴

ハンドタップは、手作業でねじ山を形成する工具であり、タップハンドルを用いてゆっくりと加工を進めるのが特徴です。JIS規格に基づき、食い付きの山数が違う先タップ(規格上 7〜10山/市販品一例:9山)・中タップ(規格上 3〜5山/市販品一例:5山)・上タップ(規格上 1〜3山/市販品一例:1.5山)の3種類を使い分け、負荷を分散しながらねじ加工を行います。

比較的安価で、機械設備が不要なため、小規模な加工や現場での修正作業に向いています。ただし、耐熱温度が約 200℃〜250℃ と低いため熱処理された高硬度鋼などの新規ねじ切りには適さず、また手作業によるばらつきが生じるため、高い精度が求められる加工では、熟練した技術が必要です。

ハンドタップのメリット・デメリット

ハンドタップのメリットは、機械を使用せずに加工でき、試作や修正作業にも対応しやすい点です。また、設備投資が不要で、比較的低コストで導入できます。一方、デメリットとしては、作業者の技術に左右されやすく、精度の安定性が低い点が挙げられます。また、加工速度が遅く、大量生産には向いていません。さらに、切り屑の処理が手作業(1回転ごとにハンドルを1/4〜1/2回転ほど逆転させて切り屑を細断する動作)になるため、作業負担が大きくなる可能性があります。

ハンドタップの適した製品・被削材・シーン

ハンドタップは、少量生産や試作品の加工、修理・補修作業に適しています。工作機械を使用しないため持ち運びが可能で、現場での作業や出張修理、自動車のメンテナンスにも便利です。被削材としてはSS400などの一般構造用鋼、軟鋼、アルミや真鍮などの軽金属、あるいは熱硬化性樹脂などに向いています。大量生産や高硬度材の連続加工には不向きなため、用途に応じた使い分けが必要となります。

マシンタップとは

マシンタップの特徴

マシンタップは、工作機械に装着して自動でねじを切る工具で、高速かつ均一な加工が可能です。スパイラルタップ、ポイントタップ、ロールタップなどの種類があり、切り屑の排出方法や適用する加工条件に違いがあります。特に大量生産向けの工場で使用されることが多く、精度の高いねじ加工を効率的に行えます。手作業よりも加工速度が速く、作業者の技術に依存しにくいのが特徴です。

マシンタップのメリット・デメリット

マシンタップのメリットは、加工速度が速く、均一な品質を維持できることです。また、切り屑を一方向(前方または後方)へ連続排出する性能が高いため、作業効率が高いのもメリットと言えるでしょう。デメリットとしては、専用の工作機械が必要であり、初期投資がかかる点が挙げられます。また、タップの種類によって適用できる被削材が異なり、適切な工具選定も必要です。機械の設定やメンテナンスも必要で、使用環境によっては導入が難しい場合もあります。

マシンタップの適した製品・被削材・シーン

マシンタップは、大量生産が求められる自動車部品や精密機器などの加工に適しています。また、マシンタップは高速度工具鋼(HSS-E/HSS-P)や超硬合金を母材とし、硬質コーティング(TiCNやTiAlNなど)が施された種類が多いため、合金鋼やステンレス、アルミニウム、銅、プラスチック、さらには鋳鉄など幅広い被削材への対応が可能です。旋盤やマシニングセンタなどの工作機械と組み合わせることで、安定した加工が可能となり、特に同じサイズの雌ねじを連続して作る場合に効果的です。

ハンドタップ・マシンタップの代表的な製品例

手作業や修理補修に適した「ハンドタップ」と、工場や自動化ラインなどの工作機械で真価を発揮する「マシンタップ」の各製品例をご紹介します。

【ハンドタップ】手作業・補修向けの代表的な製品例

イシハシ精工:SKSハンドタップ

イシハシ精工公式HPキャプチャ
画像引用元:イシハシ精工公式HP(https://ishihashi.co.jp/products?category=%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%97,%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B9&page_no=3#anchor)

合金工具鋼(SKS2)を材質に使用した、手動ねじ切り作業の標準的なハンドタップです。食付き部が9山(先)・5山(中)・1.5山(上)の3本組が基本となっており、手作業でゆっくりと負荷を分散しながら、確実な雌ねじ加工や潰れたねじ山の修正を行うことができます。

サイズM2×0.4~M30×1.5
※ウィットねじ、ユニファイねじ対応サイズもあり
材質合金工具鋼(SKS2)
食付き部先:9P、中:5P、上:1.5P

早坂精密工業:ハンドタップ(SKS2 一般用)

早坂精密工業公式HPキャプチャ
画像引用元:早坂精密工業公式HP(https://www.htd-m.co.jp/products#a01)

宮城県加美郡加美町の本社・工場で国内一貫生産を行う「H.T.D」ブランドの、手作業・修正加工向けSKS2製ハンドタップです。伝統的な金属加工技術の蓄積により製造されており、多品種少量の現場、とりわけ保守・リペア・プラントエンジニアリングの分野において高い製品信頼性と安定した寸法精度を提供します。

サイズ要問合せ
食付き要問合せ
材質SKS(主にSKS2相当の特殊工具鋼)

ワールドツール(アストロプロダクツ):タップシリーズ&ダイスセット

ワールドツール(アストロプロダクツ)公式HPキャプチャ
画像引用元:ワールドツール(アストロプロダクツ)公式HP(https://www.astro-p.co.jp/i/2011000011581)
ワールドツール(アストロプロダクツ)公式HPキャプチャ
画像引用元:ワールドツール(アストロプロダクツ)公式HP(https://www.astro-p.co.jp/i/2011000009472)

自動車のメンテナンス(ドレンボルト等のねじ山清掃・修正)やDIY作業で手軽に補修ができるタップ・ダイスシリーズです。単品販売の製品には靭性に優れた炭素工具鋼(SK5)が採用され、40点組などのセット品には剛性が高くねじ山修正を作業性よく行える「タングステン合金」を採用。用途や作業規模に合わせて最適なコストパフォーマンスを発揮します。

材質(単品)炭素工具鋼(SK5)
材質(セット)タングステン合金(タップ/ダイス)
入組内容タップ/ダイス、タップハンドル、タップホルダー、ダイスハンドル、マイナスドライバー、ピッチゲージ

TONE:タップ&ダイスセット

TONE公式HPキャプチャ
画像引用元:TONE公式HP(https://www.tonetool.co.jp/product/detail.php?no=TDS400&bk=search)

プロ用の作業工具メーカーであるTONEが展開する、持ち運びに便利なケース付きのねじ切り・ねじ山修正用ハンドツールセットです。全部で17サイズの豊富なタップとダイスがセットされており、ラチェット機構付きの専用ハンドルが付属しているのが大きな特徴。工具を360°回転させられない狭い自動車の整備現場や配管のレストア作業でも、楽に手動タッピングが行えます。セット内の「1/8BSP28」は英国管用ねじ規格(JISのG 1/8に完全互換)であり、空圧機器や油圧センサ取り付け部のメンテナンスに必須となる重要サイズです。

タップ/ダイスM3×0.5〜M12×1.75、1/8BSP28(計17サイズ)
タップホルダーM3~M6用, M6~M12用
その他内容ハンドル、タップ用ホルダー、ドライバー、ねじピッチゲージ、ポリエチレンケース

【マシンタップ】工作機械・自動化ライン向けの代表的な製品例

彌満和製作所:Z-PRO 鋳物用ストレートタップ クールホール CAST CH

モノタロウ公式HPキャプチャ
画像引用元 : モノタロウ公式HP(https://www.monotaro.com/g/07484620/?t.q=Z-PRO%20%20CAST%20CH)

マシニングセンタやNC旋盤などでの中〜高速域(〜50m/min)自動加工に特化した、Z-PROシリーズの機械用ストレート溝タップです。溝形状はハンドタップに似ていますが、粉末ハイス(HSS-P)を母材に採用し、軸内に油穴(クールホール)を配置した工作機械専用の設計。アルミ合金鋳物や鋳鉄の量産タッピングにおいて、内部から噴出する切削液によって加工点を直接冷却し、抜群の切り屑排出特性と安定した高精度切削、そして圧倒的な長寿命を実現します。

呼びM6×1~M24×3
食付きC(3P)またはE(1.5P)
全長80~160㎜
材質HSS-P(粉末ハイス)

田野井製作所:ゼロチップ タップ ZC-HT(内部給油用)

田野井製作所公式HPキャプチャ
画像引用元:田野井製作所公式HP(https://www.tanoi-mfg.co.jp/product/hand_tap/)

工作機械での自動化量産ライン用に開発された、ストレート溝形状の内部給油専用マシンタップです。胴部分にらせん状の「サイドスルー溝」を持つ構造と高密着なTiCNコーティングにより、流体力学的効果で切り屑の噛み込みを物理的に排除。通常は工具の切り替え必要とされる「通り穴」と「止まり穴」の双方を一本でカバーし、突発的なタップ折損や刃欠けを防いで自動加工ラインの完全無人化運転を安定的に支えます。

サイズメートルねじ用M3~M24
食付1.5P, 3P
表面処理TiCN
その他内部給油専用モデル

酒井精工:ベントシャンクタップ / ナットタップ

酒井精工公式HPキャプチャ
画像引用元:酒井精工公式HP(https://tapsakai.co.jp/products/index.php)
酒井精工公式HPキャプチャ
画像引用元:酒井精工公式HP(https://tapsakai.co.jp/products/index.php)

自動ねじ立盤や縦型ナット盤といった、大量のナットを製造する専用機械での自動量産加工に特化した特殊幾何形状のマシンタップです。ベントシャンクタップはシャンク部が緩やかに湾曲しており、ねじ切りを終えたナットが逆転ストロークなしで後方へノンストップ自動排出されるため、主軸モーターの反転による時間ロスを完全に排除し、驚異的な生産効率を誇ります。多品種少量や最大呼び径M150の大径には長軸のナットタップが適合します。

ベントシャンクサイズM1.2~M52、ユニファイ、ウィット、自転車用BC、ミシン用SM規格等の特殊ねじにも完全対応
ナットタップサイズM5~150、各インチ規格対応

野村工具製作所:ナット製造専用マシンタップシリーズ

野村工具製作所公式HPキャプチャ
画像引用元:野村工具製作所公式HP(http://www.nomuratool.co.jp/?page_id=34)

ナット生産現場での個々の機械特性や被削材に合わせた完全オーダーメイド生産、および自社内での特殊熱処理・表面処理に対応する工業用ロングシャンクタップシリーズです。湾曲シャンクによりナットを一方方向に連続自動排出する「ベントシャンク」や、同用途で直軸形状の「ストレートシャンク fleece」、多品種少量・大径用の「ナットタップ」を展開。自動ねじ立盤の連続稼働とスピンドルの稼働ロスを削減し、トータルコストの低減を強力に支えます。(※ストレートシャンク/ナットタップ画像省略)

主な用途自動ねじ立盤、ねじ立盤での量産ナットタッピング加工
製品バリエーションベントシャンクタップ、ストレートシャンクタップ、ナットタップ

不二越:Nポイントタップ / STポイントタップ

不二越公式HPキャプチャ
画像引用元:不二越公式HP(https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/)
不二越公式HPキャプチャ
画像引用元:不二越公式HP(https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/)

素材(ハイス鋼素材の溶解)から工具製造まで自社一貫生産体制を持つ総合機械メーカー、不二越のマシニングセンタ等での通り穴加工に対応した高剛性設計のマシンタップ(ポイントタップ)です。Nシリーズにはタップ特性に最適化された高級バナジウムハイス(HSS-E)が採用されており、コストパフォーマンスを高めつつ広範な鋼材への自動ねじ切りにおいて安定したロングライフを維持します。STシリーズは独自の幾何学的溝設計を引き継ぎ、加工機械の性能やツーリングの剛性を問わず、極めて美しくバリの発生を極限まで低減させたハイレベルなめねじ内面仕上げを実現します。

サイズM1.4~M36(Nシリーズ)、M2~M24(STシリーズ)
食付5P
材質HSS-E(高級バナジウムハイス)

さくさく:スパイラルタップ / ポイントタップ 一般用

さくさく公式HPキャプチャ
画像引用元:さくさく公式HP(https://sakusakuec.com/shop/g/gS0001235/)
さくさく公式HPキャプチャ
画像引用元:さくさく公式HP(https://sakusakuec.com/shop/g/gS0001241/)

切削工具専門通販を展開する「さくさく」ブランドがプロデュースする、初期導入コストを徹底的に抑えた高性能エコノミータップシリーズです。リーズナブルな価格ながら母材には耐熱限界温度約 600℃ を誇る高級高速度工具鋼(HSS-E)を採用。一般構造用鋼からステンレス鋼、鋳鉄、アルミニウム合金まで幅広くカバーする汎用的な刃先設計が施されており、切り粉が適正にコントロールされてカール排出されるため、自動機械加工における汎用マシンタップとして最適です。

材質HSS-E(高速度工具鋼)
対応穴形状スパイラルタップ:止まり穴用 / ポイントタップ:通り穴用
サイズ(一例)M4×0.7(各種サイズバリエーションあり)
ハンドタップとマシンタップの違い

ハンドタップとマシンタップは、それぞれ用途や特徴が異なります。手作業向けのハンドタップは少量生産や修正向き、一方でマシンタップは高速で大量生産に適しています。そのため、用途に応じて適切なタップを選ぶことが重要です。

当サイトでは「切削トラブル」「耐久性」「加工精度」など、現場で起きやすい悩みに合わせて、各メーカーの製品情報を整理しています。製品選びに迷った際は、ぜひ「タップメーカー3選」をご覧ください。

よくある課題別に選ぶ
タップメーカー3選

タップの寿命を延ばして
生産性を上げましょう
切りくずの噛み込み
ホルダーへの巻きつきが課題なら
彌満和製作所
(YAMAWA)
Z-PRO
彌満和製作所
引用元HP:彌満和製作所公式HP
https://www.yamawa.com/jp/
タップの全長を伸ばし
切りくずの排出を向上
機械加工で起こりやすい切りくずの噛み込みやホルダーへの巻き付きを防ぐため、一般的なタップよりも全長が長い「セミロング形状」を採用。切削油剤の確実な外部給油が可能となり、切りくずの詰まりによる折損や精度不良の改善に導く。
高硬度材の加工
タップの折損が課題なら
田野井製作所
(TANOI)
Wタフレット
田野井製作所Wタフレット
引用元HP:田野井製作所公式HP
https://www.tanoi-mfg.co.jp/product/w_tf/
HRC45の高硬度材でも
高寿命・高速度加工を実現
コーティングの密着性向上とワークとの摩擦を抑えるねじ山形状によって、高速加工と高耐久性を実現しているWタフレット。高硬度材でも加工定数を2倍に延ばした実績があり、タップ折損防止が期待できる。
めねじ内径のバリによる
加工工数の圧迫が課題なら
不二越
(NACHI)
バリレスシリーズ
不二越(NACHI)バリレスシリーズ
引用元HP:不二越(NACHI)公式HP
https://www.nachi-technologypark.jp/tool/product11/
めねじ内径のバリをなくし
バリ取りの二次加工を省く
「加工後のバリ取りは当然」という常識を覆す、バリレスシリーズ。下穴とタップ谷底の隙間を無くすことでバリレスを実現している。バリレス性能により懸念される寿命も、汎用タップと同等以上を担保。

よくある課題別に選ぶ
タップメーカー3選