近年、精密機器は小型化がますます進んでおり、デジタルカメラなどに使われるマイクロねじ(0番ねじ)の需要は以前より増していると紹介されています。マイクロねじ(0番ねじ)は基本的にM2未満のねじを使いたい場合に選ばれ、さらに小さい00番ねじも存在するとされています。
こうした小径ねじを受けるめねじ側のタップ加工も、小径・微細で、止まり穴の深さに余裕がない条件になりがちです。実際に、デジタルカメラ部品のマグネシウム合金で、M3以下(M2未満を含む)の小径ねじを下穴深さぎりぎりまで加工したいという止まり穴加工の相談事例が、メーカーの技術情報として公開されています。小径であるほど工具の剛性が低くなるため、タップの選定と加工条件が品質と歩留まりに直結します。
※参照元:宇都宮螺子「マイクロネジ(0番ねじ)」(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element26.html)
※参照元:株式会社彌満和製作所「困ったときの知恵袋 【相談】No.101」(https://www.yamawa.com/Portals/0/resource/jp/tips/pdf/tips-101.pdf)
小径タップは径が小さいほど剛性が弱く、タップ加工では横方向の力も加わるため、ねじ切られるような力で折れやすくなります。なお、何mm以下を「小径」とするかに統一された定義はなく、紹介元ではM3以下を小径タップとして整理しています。
同じ紹介元では、折損対策として、スパイラルタップに比べて強度があるポイントタップや、ステンレス用・超硬タップの活用、新品のタップの使用、切削液ではなくタップ油の使用、下穴径を少し大きくすること(例:M2×0.4で下穴1.6mmのところを1.7mmで加工)、下穴の肩の深さをタップが入る深さ+2mm以上にすること、回転速度を遅めにすることなどが挙げられています。また、食付き部の山数が少ないと折れやすいとして、せめて2.5山は欲しいとされています。
精密機器では、上記の相談事例のようにマグネシウム合金のような軽量金属が加工対象になる場合があります。止まり穴で下穴深さぎりぎりまでねじを立てたいときは、食付き部の長さと有効ねじ部の確保のバランスが課題になります。前項の紹介元が食付き部の山数をせめて2.5山とするのに対し、下穴深さとねじ立て長さの差が小さい止まり穴では、食付き部の山数を1山以下に短くしたショートチャンファのハンドタップ(M1.4〜M3の範囲で展開される製品例)が紹介されています。穴の深さと使用する工具の仕様を、事前に突き合わせておくことが重要です。
また、マグネシウム合金の切りくずは非常に燃えやすく、引火すると高温で燃焼し、燃えている最中に水をかけると爆発するおそれがあるとされています。切りくずはこまめに清掃し、蓋ができる不燃材質の容器に収納する、消火用の乾燥砂を準備するといった取り扱いが紹介されています。
※参照元:現役機械加工者の知恵袋(ましにんぐ)「小径タップの折れ対策」(https://www.metal-processing-japan.com/syoukeitappu/)
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が2025年12月16日の記者会見で示した見通しでは、2026年の電子情報産業の世界生産額は、生成AIやIoT、自動運転、スマートファクトリーなど先端技術の普及、高性能サーバ・ストレージとそれを支える半導体の伸長を背景に、前年比10%増の4兆5千億ドルと、過去最高を更新するとされています。なお、これは世界の電子情報産業全体の見通しであり、国内の電子機器・通信機器・精密機器の生産額を直接示すものではありません。
一方、精密機器の分野では、先に触れたとおり小型化が進み、マイクロねじの需要が以前より増していると紹介されています。部品が小さく薄くなるほど、小径ねじ穴の折損対策や、止まり穴での有効ねじ部の確保といったタップ加工の難しさは増していきます。
需要の拡大や小型化が続く局面では、小径・微細なねじ穴を安定して加工できるタップを継続して使えるかどうかが、部品加工の現場対応力を左右する要素の一つといえます。
※参照元:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)「漆間会長記者会見 ~デジタルの社会実装による課題解決、価値創出の取り組みを発信~」(https://www.jeita.or.jp/japanese/pickup/category/2025/vol56-01.html)
小径・微細ねじの折損対策と、軽量素材・止まり穴への対応力が、電子機器・通信機器・精密機器の部品加工現場に求められています。
当サイトでは「切削トラブル」「耐久性」「加工精度」など、現場で起きやすい悩みに合わせて、各メーカーの製品情報を整理しています。製品選びに迷った際は、ぜひ「タップメーカー3選」をご覧ください。


