めねじ加工は、部品の内側に螺旋状のねじ山を形成する工程であり、ボルトやおねじとの確実な締結を可能にする重要な製造プロセスです。通常は、事前に開けた下穴にタップと呼ばれる専用工具を挿入し、切削または塑性変形によってねじ山を生成します。この工程は、機械加工や組立工程において、製品の信頼性や生産性の向上を支える基盤となっています。
めねじは、円筒形部品やプレート内の穴の内周部に螺旋状のねじ山を設けた構造のことです。具体例としては、ナット内部のねじ山や部品に直接施されたねじ穴などが挙げられます。
一方、おねじは棒状の部品外周にねじ山を持つ構造で、ねじ締結の際に挿入される側を意味します。めねじはそれを受け止める内側の構造のこと。両者は相互補完的な関係によって機械的な結合を実現します。
締結機構は、おねじ(ボルトやビス等)とめねじとの相互作用により成り立っています。おねじはねじ軸方向に回転することで締付力を発生させ、めねじは内周のねじ山によってその力を受け止める仕組み。このとき発生する摩擦力や弾性接触が、締結部に対する振動・ズレへの耐性を向上させるメカニズムとなります。
設計・調達段階では、両者が同じ規格・ピッチ・ねじプロファイルであることが前提です。適合性の微妙なズレが、製品の性能・耐久性に直接影響します。
めねじを加工するための専用工具です。金属や樹脂にあらかじめ開けた下穴に挿入し、内部にねじ山を成形します。たとえば、ボルト(おねじ)を部品と接続する場合、部品側にタップを用いてめねじを加工することで、確実な締結が実現します。
ハンドタップ
下穴に手回しで挿入し、めねじを立てるタップ。一般業務用よりも補修や少量生産、試作など「少数対応」の現場で採用されています。先・中・上(1番・2番・3番)タップの3段構成が基本。切り屑を抱え込むストレート溝構造で、通り穴・止まり穴の両対応が可能です。
マシンタップ
CNC旋盤やフライスなどの工作機械に装着して、機械主導でめねじ加工を行う切削型タップ。スパイラルタップやポイントタップなどがあり、加工速度・精度ともに高く、工場での大量生産に向いています。
転造タップ(ロールタップ)
切削ではなく、材料を塑性変形させることでねじ山を成形するタップ。切りくずが発生せず、工具寿命が長く、加工の安定性に優れる点が特長です。ただし、展延性の高い素材(例:アルミニウム、銅)に限定される傾向があります。
ドリルタップ
ドリルとタップが一体化した工具。穴あけとねじ切りを同時に実施できます。作業工程の短縮が可能であり、特に現場での迅速な対応を求められるシーンで有効です。
めねじ加工は、おねじとの確実な締結を実現するための重要な要素です。その中核を担うタップの適切な選定は、加工の精度と安定性を左右します。
タップには、ハンドタップ・マシンタップ・転造タップ・ドリルタップといった種類があり、それぞれ特性や用途が異なるもの。加工対象の素材、求められる精度、生産量などに応じて、適した工具を選定することが求められます。
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